愛別離苦(あいべつりく)

あっという間に9月になりました。

陽ざしにはまだ夏の名残もありますが、秋の近づきを感じるこの頃。

夏水仙 花言葉:深い思いやり・楽しさ・あなたのためになんでもします

現在境内では夏水仙が開花中🌺

ユリ(新鉄砲百合) 花言葉:純潔・純粋・無垢

今年も境内のあちらこちらでユリが咲いてくれました♪

お施餓鬼法要

去る8月25日、「お施餓鬼法要」を執り行いました。

この施餓鬼法要は今年新盆をお迎えする仏様(亡くなられた方)に諷誦(ふじ)と呼ばれる徳のある文を読んで届けるこの地域ならではの法要です。

普段の法事とは違って、高座に僧侶が座り参拝者の方を向いて”ふじ”を読みます。

またこの地域では『旅装束』を準備し、

旅装束(暑くないように帽子、汗拭きタオル、草履、扇子)

新盆を迎える方たちが、気持ちよくあちらの世界からこちらの世界を行き来するたに

帽子、手拭い、草履、扇子を用意します。

仏事や神事の際に用意する品々はその時々によって様々ですがそれらの一つ一つにきちんと意味があるんです♪

毎年8月16日に行う法要ですが、今年は台風9号の直撃予報により安全を考慮し25日に延期。

師匠はこのお寺に入って50年以上になりますが、初めての延期だったそうです。

おかげさまで台風の進路が変わり被害もなく一安心でした(^^♪

千葉に移住した頃の話

今回の茶飲み話は少し個人的なお話になります。

趣味の波乗りに没頭し、三重からサーファーの登竜門と言われる千葉に移住したのは22年前・・・。

千葉には知り合いが全くいないという状態からの新生活。

当初はひとり寂しく何度も三重に帰ろうと思いました…。

そんな一人ぼっちだった私の面倒をみてくれた仲間の1人”ヒデ”さん。

ヒデさんは横浜出身、波乗りが大好きで私より先に千葉に引っ越してきた一人です。

少し年上だったので、ヒデさんのことは「あにき」と呼んでいました。

お互いのアパートを行き来する毎日。

悩みを打ち明けたり、時には厳しい意見を言い合ったり・・・寝ずに一晩中夢を語りあう日もありました。

右下・笑顔のヒデさん 中央 奥様

昔の写真を見返すと、私の隣にはいつもヒデさんが笑顔で写っていて改めて毎日一緒に過ごしていたんだなと実感。

そんなヒデさんにも家族ができ、十数年前に沖縄に移住。

私が出家を決意し修行に行くことを伝えた時も、『何かあればヒロ(私)にお経をお願いするから頑張ってね』と応援してくれ、

奥さん娘さんご家族でお寺に遊びに来てくれたこともありました。

辛いときは励ましあい、嬉しいことは自分のことのように大喜びし

私にとってのヒデさんは、親友、先輩、兄弟を全部合わせたような大きな存在。

生活が変わりなかなか会えなくてもSNSでお互いに近況を確認していました。

突然の知らせ

今年の4月4日。

花が芽吹き始め春を感じる季節。

全国の天気予報を見ると沖縄は半袖😋

千葉ではセーターが必要な気候。

″同じ日本なのにこうも違うのか~″、そう思っている矢先1通のメール。

ヒデさん急逝・・・。

え・・・亡くなる数週間前には電話で話していたのに・・・。

死因は心筋梗塞、享年52歳。

結局、私は一度も沖縄にいるヒデさんに会いに行くことができず。

普段、ご法事やお経セラピ~で「自分も周りの方も本当にいつ亡くなってしまうかわからない、

だから今という一瞬一瞬をたいせつに!!」とよくお話をさせていただきますが、

私自身が甘く考えていました。

いつかは会えると・・・。

行こうと思えばこれまでに沖縄にも行けたはず。

亡くしてから気づく大切なこと・・・。

ヒデさんは生前、自分が死んだら私にお経をあげてほしいと奥さんに話をしていたそうで、

つい先日、本興寺本堂で新盆のお経をあげさせていただきました。

これまでもヒデさんとは長く会っていなかっただけに「亡くなった」という実感が正直あまりありませんでしたが、

当日ヒデさんのお骨、奥様、二人の娘、そして両家のご家族を目の前にして

本当にヒデさんは亡くなったんだと実感。

4か月も前から辛く悲しい思いをしているご家族皆様の前で、今さらながらに悲しみがこみ上げ

言葉がつまり、そんな自分が情けなくなりました。

両家の皆様と

それでも心優しい両家の皆様は私の話を聞いてくださり、

ヒデさんのために手を合わせて一緒にお経をあげてくださいました。

ヒデさん、

難病にも耐えてこの世の大変な修行を終えたね、

まだまだ家族と離れるのは早すぎで辛いけど

ヒデさんファミリー

これからは苦しみのない安らかな世界で大切な家族を見守ってあげてね。

今月の掲示板

お釈迦様の教えの一つ”四苦八苦”。

人が生きる上で避けては通れない苦しみの種類。

そのなかの一つ「愛別離苦(あいべつりく)」

「この世に生を受けたものは必ず大切な方との別れがあり、離れ離れになり苦しい思いをする」という教えです。

大切なことは、”あなただけではなく、全ての者がいつかは向き合わなくてはならない”、

そして”その別れはいつ訪れるかわからない”ということです(*_*;

家族、友人、恋人、ペット・・・

本当にいつ命の燈火は消えるかわからない。

同じ後悔を繰り返すようであればそれはその人の死を無駄にすることになる。

みなさま、自分や周りの大切な人がいつ亡くなっても後悔しないよう

今というひと時を大切になさってください。

愛別離苦を理解することは、自分と周りの世界との関わり方を深める一歩になるでしょう。

そして大切な方を亡くされた方、時間とともに少しずつでもいい、笑顔を増やしていってください。

この世に残された家族の絆や笑顔は亡くなられた方にとって最高の供養ですから♪

今月のセラピ~は15日15時より♪

どなたでも参加できますのでお気軽にご来寺くださいませ。

それでは皆様にとって素敵なひと月となりますように♪

南無妙法蓮華経

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9月のお経セラピ~